マンション管理組合の収益事業とは

マンション管理組合でも「収益事業を営む場合には法人税が課されます」

マンション管理組合は法人格を持ちませんが、法人税法上「人格のない社団等」として法人とみなされ、法人税が課されます。
ただし、マンション管理組合のすべての収入について法人税が課税されるのではなく、収益事業から生じた所得に対してのみ法人税が課されます(法人税法第4条)。
すなわち、マンション管理組合員以外の、外部者からの収益事業による収入があるときに限って、法人税の申告と納税義務が生じるのです。
では、収益事業とは何でしょうか。具体的に以下で説明していきます。
もし、あなたのマンション管理組合でも収益事業があれば、また、収益事業に該当するかどうか分からない場合には、お気軽にビヨンド税理士法人へお問い合わせください。

収益事業とは

法人税法上の収益事業とは、「販売業、製造業その他政令で定める事業」で、継続して事業場を設けて営まれるものをいいます(法人税法2条13項)。
この事業には、その収益事業の事業活動の一環として、あるいは関連して付随的に行われる行為も含まれます。(法人税法施行令第5条1項)

収益事業の要件について

  1. (1)法人税法施行令第5条1項の34業種のいずれかに該当
  2. (2)継続して行われるもの
  3. (3)事業場を設けて行われるもの

上記をすべて満たす場合に収益事業に該当し、マンション管理組合でも法人税等の申告が必要となります。

(1)販売業、製造業その他政令で定める事業(34業種)とは

(法人税法施行令第5条1項)

物品販売業、不動産販売業、金銭貸付業、物品貸付業、不動産貸付業、製造業、通信業、運送業、倉庫業、請負業、印刷業、出版業、写真業、席貸業、旅館業、料理店業その他の飲食店業、周旋業、代理業、仲立業、問屋業、鉱業、土石採取業、浴場業、理容業、美容業、興行業、遊技所業、遊覧所業、医療保険業、技芸教授業、駐車場業、信用保証業、無体財産権提供業、労働者派遣業をいいます。

(2)「継続して行われるもの」とは

各事業年度の全期間を通じて継続して事業活動を行うもののほか、通常相当期間にわたって継続して行われるもの又は定期的に、若しくは不定期に反復して行われるものが含まれます(法人税基本通達15-1-5)。

(3)「事業場を設けて行われるもの」とは

「事業場を設けて行われるもの」には、常時店舗、事務所等事業活動の拠点となる一定の場所を設けてその事業を行うもののほか、必要に応じて随時その事業活動を行うものが含まれます。したがって、移動販売、移動演劇興行等のようにその事業活動を行う場所が転々と移動するものであっても、「事業場を設けて行うもの」に該当します(法人税基本通達15-1-4)。

(ご参考)法人税法施行令
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S40/S40SE097.html

マンション管理組合にかかわる収益事業の例

(不動産貸付業)
携帯基地局設置収入、広告看板設置収入、駐車場サブリース、電柱設置収入、自動販売機設置収入、CATV設置収入、インターネット設備設置収入

※国税庁HP 質疑応答事例「マンション管理組合が携帯電話基地局の設置場所を貸し付けた場合の収益事業判定」(平成26年7月25日)
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/hojin/21/11-2.htm

【照会要旨】

Aマンション管理組合は、移動体通信業者Xとの間で、携帯電話基地局(アンテナ)設置のためにマンション屋上 (共用部分)の使用を目的として、建物賃貸借契約を締結することとなりました。…当該設置料収入は、法人税法上の収益事業(不動産貸付業)に該当することとなりますか。

【回答要旨】

収益事業たる不動産貸付業に該当します。

(駐車場業)
駐車場の外部貸し収入

※区分所有者のみを対象として行っている駐車場業は、収益事業には該当しない。
(国税庁HP 質疑応答事例「団地管理組合等が行う駐車場の収益事業判定」 )
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/hojin/21/11.htm

(製造業)
太陽光発電設備による電力売却収入、風力発電設備による電力売却収入

(物品貸付業)
カーシェアリング、自転車のレンタル収入(区分所有者以外からの収入である場合)

(席貸業)
共有施設の利用料(区分所有者以外からの収入である場合)

(旅館業)
ゲストルームの宿泊料(区分所有者以外からの収入である場合)

(遊技所業)
フィットネスルーム・プール等の使用料(区分所有者以外からの収入である場合)

収益事業に該当しないと考えられるケース

(1)資源ゴミ回収(処分)奨励金(補助金)

資源ゴミ回収(処分)奨励金とは、マンション管理組合等の団体が、家庭から出るごみの中で資源として再利用できるもの(新聞、雑誌、段ボール、紙パック、アルミ缶、古着等)を回収し、再生資源回収業者に引き渡した場合に市区町村等から交付される報奨金(補助金)です。
こうした活動は34業種のいずれにも該当しないため、収益事業に該当しないと考えられます。

(2) フリーマーケットによる収入

34業種のうちの「物品販売業」に該当しますが、年間2、3回程度の少ない回数の場合には、「継続して行われるもの」とはいえないため、収益事業に該当しないと考えられます。
ただし、高頻度で定期的に、区分所有者以外も参加して行われる場合には、収益事業に該当すると考えられます。

(3)実費経費の精算にあたる収入

携帯基地局アンテナ、インターネット設備、自動販売機等の設置によって発生する電気代等の経費相当額を設置した業者から受けとっている場合、その収入は実費負担した経費の精算にすぎませんので、収益事業には該当しないと考えられます。

(4)僅少な収入

収入が僅少な取引については、社会通念上事業と認められるものとはいえないため、収益事業に該当しないと考えられます。

(5)施行令・基本通達等の例外規定により収益事業に該当しないもの

①貸しロッカー
ポイント:「物品貸付業」に該当するか否か?
「物品の貸付」とは、物品をその利用者の管理のもとに移してその利用をさせることをいい、専ら一定の施設内において、その施設を利用するものに対して、その施設利用の目的の範囲内で備え付けの物品を利用させる行為は、たとえその物品の利用について別途利用料を請求することがあるとしても、そのこと自体を物品貸付業とすることは相当ではありません(法人税基本通達逐条解説)。したがって、収益事業に該当しません。

②物品販売(組合員全員への販売)
ポイント:「物品販売業」に該当するか否か?
公益法人等がその会員等に対して有償で物品の頒布を行っている場合であっても、当該物品の頒布が当該物品の用途、頒布価額等からみて専ら会員等からその事業規模等に応じて会費を徴収する手段として行われているものであると認められるときは、当該物品の頒布は、物品販売業に該当しません(法人税法基本通達 15-1-9 注3)。

組合員に対してのみの販売で、購入が専ら組合員に義務付けられているような場合は、収益事業に該当しない。専ら全組合員を対象としているかどうかは、8割程度が目安とされています(法人税基本通達15-1-34)。

(ご参考)法人税基本通達
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/hojin/15/15_01_13.htm

③広報紙の配布
ポイント:「出版業」に該当するか否か?
特定の資格を有する者を会員とする法人がその会報その他これに準ずる出版物を主として会員に配布するために行うもの及び学術、慈善その他公益を目的とする法人がその目的を達成するため会報を専らその会員に配布するために行うものを除きます(法人税法施行令第5条第1項12号)。

専ら会員を対象として配布するものは、対価を得ても出版業には該当しません。

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